昭和のこどもたち展示会情報
ビー玉
ビー玉はガラス玉なので地面でないと遊べない。
ようやく訪れた春の日差しの中、少年らがまだ雪がとけきらぬ道に出て遊ぶ。
長い冬の間、家の中で磨いた技を試す時だ。

兄弟が多く、小学六年生ともなると一人前の働き手として扱われた。
「勉強なんかせんでええ、山へ来い、牛の世話をしろ。 」と家の手伝いをした。

あかぎれやひび割れが癒える暇がなかった。
制服はお下がりのお下がりで、ツギが当たっていても誰も気にしない。
学校でも野良でも一張羅で通した。
もうしばらくすれば小鳥がさえずり、フキノトウが顔を出す。
端の雪はまだとけていないが真ん中は乾いているからこれなら思ったところにビー玉が転がるだろう。